「通電火災」とそのメカニズム
今後、30年以内に70%の確立で起きるとされるマグニチュード7級の首都直下型地震。この首都直下型地震による建物被害は61万棟にのぼり、そのうちの火災による焼失は、42万2000棟と想定されています。
また、火災は、環状8号線の内側の木造住宅密集市街地を中心に同時多発的に発生し、建物倒壊や渋滞で消防車が現場に到着できず、炎に囲まれて多数の死傷者が出ると考えられます。
同じ都市直下型地震として1995年に発生した阪神・淡路大震災では、出火原因が分かっている139件中85件が、2011年の東日本大震災では、110件中71件と、ともに6割強が電気に起因する火災で、「通電火災」と呼ばれています。
首都直下型地震の被害想定では、およそ半数の世帯で停電が発生するとされています。停電から電気が復旧したときに電気ストーブや発熱器具のスイッチが入ったままだと、当然その電気製品は作動します。そしてそれらの電気製品の近くに可燃物があったり、余震で電気製品が転倒したり、上から落ちてきた可燃物に引火することで火災が発生します。
また、電気製品のスイッチを切っていたとしても、激しい揺れによる転倒や落下で電気配線が損傷していたり、電気製品そのものが損傷することで、電気が復旧したときにショートして発火することもあります。
「通電火災」を防ぐ
では、その「通電火災」を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか?
それは、地震発生後に揺れが収まったらブレーカーを落とすことです。
でも、激しい揺れに見舞われた直後で動揺したり慌ててしまう状況で、確実にブレーカーを落とすことができるでしょうか?もしかすると家中の物が散乱したり家屋の損傷で、分電盤までたどり着けないかもしれません。
そんなブレーカーの切り忘れを防ぐ方法としてお勧めなのが「感震ブレーカー」です。
「感震ブレーカー」とは、地震による揺れを感知して自動でブレーカーを落とす装置のことで、いろいろな種類のものがありますが、比較的安価で取付が簡単なものをご紹介します。
こちらが、感震ブレーカーアダプター ヤモリ GV-SB1 です。
パッケージ内容は至ってシンプルで、本体、取扱説明書と接着面の汚れを拭き取るアルコールパッドの3点です。
位置を合わせて貼るだけ。
これだけです。
電気工事はもちろんのこと、穴開けとか、加工とか一切不要です。
本体の設定ですが、揺れの強さを震度5強と6弱を選択できます。
今回は震度6強に設定しました。
震度6強の揺れを検知すると、バンドが下降してブレーカーのスイッチを押し下げることで電気が遮断されます。
取付の注意点としては、ブレーカースイッチの周りは凹凸があるので、確実にスイッチの位置にセットすることぐらいでしょうか。
また、今回はブレーカーの上部に取り付けましたが、バンドを逆にして、本体をブレーカーの下部に取り付けて、スイッチを引っ張って落とすようにすることもできます。
これで大きな地震が起きてもブレーカーを切り忘れることはありませんし、万が一、作動しなかったとしても、感震ブレーカーを取り付けたことで、地震の時にきちんと作動したかを意識するようになるので、切り忘れを防ぐことができます。
でも課題もたくさん・・・
とりあえず、我が家に感震ブレーカーが設置できたわけですが、課題もあります。
夜間に地震が発生した場合に真っ暗になるので避難の妨げになったり、在宅用医療機器を使用されている場合には、生命に危険が及ぶことも考えられます。
また、火災は燃え広がりますから一軒だけではその効果は期待できず、その地区・地域全体で普及させる必要があります。
2014年2月に内閣府が発表した防災に関する世論調査によると、「設置済み」と解答したのは僅か6.6%に留まっています。また、自治体によっては感震ブレーカーの設置に対する補助金制度を設けていますが、ほとんど知られていないのが現状のようです。
そこで、このブログをご覧いただいているあなたにお願いです!
ぜひ、この「感震ブレーカー」をご自宅にも取り付けて、ご近所や友達、知り合いに勧めてください!!